合成の誤謬とは?わかりやすくいうと?簡単な解説と具体例

今日は、経済学や社会学でよく出てくる「合成の誤謬」という言葉について、なるべく小学生でもわかるように超簡単に解説していきます。この記事を読めば、合成の誤謬とは何か、どんな具体例があるか、どうやって防ぐことができるかが分かりますよ。では、さっそく始めましょう。

この記事では、以下の内容についてお話します。

- 合成の誤謬とは何か?
- 合成の誤謬の具体例
- 合成の誤謬を防ぐ方法


合成の誤謬とは何か?


合成の誤謬とは、正確には「ミクロの視点では合理的な行動であっても、それが合成されたマクロの世界では、必ずしも良くない結果が生じてしまうこと」を指す経済学用語です。ミクロとは「すごく小さいこと」、マクロとは「すごく大きいこと」を意味する言葉です。

例えば、「個人や企業の全員がそれぞれプラスになることをしているのに、結果として経済全体には悪影響を与えてしまう」という場合が合成の誤謬に当たります。これは、個人や企業が自分の利益を最大化するために行った行動が、社会全体では逆効果になってしまうということです。

合成の誤謬は、経済学だけでなく、社会学や心理学など様々な分野で見られる現象です。実際に起きた事例や実験で確認されています。次の章では、その中からいくつか紹介していきます。


合成の誤謬の具体例


合成の誤謬は、日常生活でもよく見られる現象です。以下に、その具体例を4つ挙げてみました。


1. 貯蓄のパラドックス


一般的に、「貯蓄をするのは良いことだ」とされています。実際、ある個人が貯蓄志向になれば、その個人の貯蓄額は増加していきます。しかし、「国民全員が貯蓄志向になれば、社会全体の貯蓄額が増加していくか」というと、実はそうでもありません。

貯蓄額が増えると消費額が減り、市場全体の総需要が減ってしまいます。そして、市場全体の総需要が減れば、会社の売り上げも当然下がってきます。つまり、「国民が5万円貯蓄額を増やした場合」、それがそのまま売り上げの低下につながって、「国民の総所得が5万円減ってしまう」のです。

個人は貯蓄額を増加させようと動いたにも関わらず、それが原因で国民の総所得が減ってしまい、結果として経済全体では同額の貯蓄額の減少をもたらしてしまう。これを、貯蓄のパラドックスと言います。


 2. 選挙のパラドックス


選挙に行かない若者は少なくありません。若者個人から見ると「選挙に行く時間があったら、バイトや勉強をした方がよっぽど自分の利益になる」と考えるのは、短期的に見れば合理的な判断とも言えます。しかし、多くの若者がこのような短期的な合理性を追い求めた結果「若者の投票率」が下がってしまうと、長期的には若者全員がそれ以上に損をする危険性があるのです。

例えば、ある選挙区を調べてみたら「投票者の20%が若者、30%が中年層、50%が高齢者」だと分かったとしましょう。もし皆さんがこの選挙区で立候補する場合、当選するためにどんな戦略を立てるでしょうか?

「若者を優遇して、高齢者支援の予算をカットします」と言えば、50%の高齢者からの支持は絶望的ですし、中年層からも「自分が高齢者になったときに困る」と思われてしまいます。しかも、若者は選挙に関心がない=あなたの政策を知らないので、若者からの支持を集められるかも不明。当然、得票率20%を切る可能性も高くなってくるでしょう。

一方で「若者支援の予算はカットしますが、高齢者福祉を充実させます」と言えば、50%の高齢者からの支持を集めやすくなります。高齢者の方は政策への関心も高いので。残り30%の中年層や20%の若者からの支持が得られるかは不明ですが、極端な話、得票率50%を取ればまず当選確実ですから、気にする必要がありません。

このように考えると、高齢者向けの政策を前面に出した方が圧倒的に当選しやすいことが分かります。その結果、「一人一人の若者が選挙に行くよりバイトや勉強を優先する」という短期的には合理的な選択の積み重ねで「若者の投票率の低下」が起きると、すべての候補者が高齢者向けの政策を推し進め、「若者全員がバイト代以上に損をする」という合成の誤謬を招いてしまうのです。

東北大学の吉田浩教授の研究によると、若年世代の投票率が1%落ちるだけで若者は1人当たり毎年13万5千円も損をするとか。「誰を選んでも大差ない」には一理あるかもしれませんが、選挙でどこかに投票するだけでも大きなメリットになるということです。選挙に行くことは、自分の将来のためにも、社会全体のためにも大切なことなのです。


3. ブラウン管のパラドックス

ブラウン管とは、昔のテレビやコンピューターの画面に使われていた技術です。ブラウン管は、電子ビームを使って画像を表示する仕組みで、現在の液晶やLEDよりも高品質でしたが、重くて大きくて電気代もかかるという欠点がありました。

ブラウン管は、2000年代初頭にはほとんど廃れてしまいましたが、その後、レトロゲームやアートなどの分野で再評価されるようになりました。ブラウン管は、現代のディスプレイでは再現できない独特の質感や色彩を持っており、それが魅力的に映る人も多いのです。

しかし、ブラウン管は非常に環境に悪いものでもあります。ブラウン管は、鉛や水銀などの有害物質を含んでおり、廃棄する際には特別な処理が必要です。しかし、多くの人はそのことを知らずに、普通のゴミとして捨ててしまいます。その結果、有害物質が土壌や水源に流れ込んでしまい、人間や動植物に悪影響を及ぼしてしまいます。

個人はブラウン管を使って楽しむことでプラスになるかもしれませんが、それが合成された社会全体ではマイナスになってしまうことがあります。これも合成の誤謬の一例です。


4. プリズナーズ・ディレンマ


プリズナーズ・ディレンマとは、心理学や経済学でよく使われるゲーム理論のモデルです。このモデルでは、以下のような状況を想定します。

あなたともう一人の犯罪者が逮捕されました。警察はあなたたち二人を別々の部屋に連れて行きました。そして、あなたたちに次のような選択肢を提示しました。

- 自分だけが自白すれば、自分は釈放されて相手は10年間刑務所に入る。
- 相手だけが自白すれば、自分は10年間刑務所に入って相手は釈放される。
- 二人とも自白すれば、二人とも5年間刑務所に入る。
- 二人とも自白しなければ、二人とも1年間刑務所に入る。

あなたはどうしますか?

この場合、「二人とも自白しなければ」が最善の選択肢です。そうすれば、「二人とも1年間刑務所に入る」という最小限の罰を受けることができます。

しかし、「相手が自白しない」という保証はありません。相手が自白したら、「自分は10年間刑務所に入ってしまう」という最悪の結果を招いてしまいます。そのため、「自分だけが自白すれば、自分は釈放される」という魅力的な選択肢に惹かれてしまうかもしれません。

しかし、相手も同じように考えている可能性が高いです。つまり、「二人とも自白する」という選択肢になってしまう可能性が高いのです。

そうすれば、「二人とも5年間刑務所に入る」という中途半端な結果になってしまいます。これは、「二人とも自白しなければ、二人とも1年間刑務所に入る」という最善の結果よりも悪いです。

個人は自分の利益を最大化するために自白することでプラスになるかもしれませんが、それが合成された社会全体ではマイナスになってしまうことがあります。これも合成の誤謬の一例です。


合成の誤謬を防ぐ方法


合成の誤謬は、個人や企業が自分の利益を追求することで、社会全体の利益を損なってしまう現象です。では、どうすれば合成の誤謬を防ぐことができるのでしょうか?

一つの方法は、個人や企業の行動に対して、社会全体の利益を考慮したインセンティブ(報酬や罰則)を設定することです。

例えば、貯蓄のパラドックスを防ぐためには、消費税を下げたり、消費者への補助金を出したりすることで、消費を促すことができます。

また、ブラウン管のパラドックスを防ぐためには、ブラウン管の回収や処理に対して、補助金や税制優遇を行ったり、廃棄物処理法を厳格化したりすることで、環境への負荷を減らすことができます。

もう一つの方法は、個人や企業が自分だけではなく、社会全体の利益も考えるようになることです。

例えば、選挙のパラドックスを防ぐためには、若者が選挙に行くことで自分の将来や社会全体の福祉に影響を与えることを意識することが大切です。また、プリズナーズ・ディレンマを防ぐためには、相手と協力することで互いに得することを理解することが重要です。

合成の誤謬は、私たちが日常的に直面する問題です。しかし、私たちは合成の誤謬に気づき、それを防ぐ方法を探すことで、より良い社会を作ることができます。私たちは一人ではなく、みんなで繋がっているのですから。


まとめ


この記事では、「合成の誤謬」という言葉について小学生でもわかるように超簡単に解説しました。合成の誤謬とは、

- ミクロの視点では合理的な行動であっても、それが合成されたマクロの世界では必ずしも良くない結果が生じてしまうことを指す経済学用語です。

- 貯蓄のパラドックス、選挙のパラドックス、ブラウン管のパラドックス、プリズナーズ・ディレンマなどが合成の誤謬の具体例です。

- 合成の誤謬を防ぐ方法としては、個人や企業の行動に対して社会全体の利益を考慮したインセンティブを設定することや、個人や企業が自分だけではなく社会全体の利益も考えるようになることが挙げられます。

以上が、合成の誤謬についての超簡単な解説と具体例でした。この記事があなたの知識や興味の一助になれば幸いです。もしもっと詳しく知りたい方は、以下の参考文献をご覧ください。

参考文献:

- 『経済学入門』(松浦健太郎著、岩波書店)
- 『ゲーム理論入門』(中村幸彦著、日本経済新聞出版社)
- 『合成の誤謬』(ジョン・ケイ著、東洋経済新聞出版社)



合成の誤謬について理解できましたか?もし気に入っていただけたら、ぜひコメントやシェアをお願いします。それでは、また次回お会いしましょう。

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