【保全命令】裁判に勝っても負ける?権利を守るための必須手続き

今回は、保全命令という裁判に関する重要な手続きについてお話ししたいと思います。

保全命令とは、裁判が終わるまでの間、相手方が財産を隠したり売ったりしてしまうことを防ぐために、裁判所が出す命令です。保全命令を受けると、相手方はその財産を処分できなくなります。

保全命令は、金銭債権の回収を目的とする仮差押えと、それ以外の権利保護を目的とする仮処分に分かれます。どちらも裁判を起こす前や同時に申し立てることができます。

この記事では、保全命令のメリットやデメリット、申し立ての条件や手続きの流れなどを詳しく解説します。保全命令について知りたい方はぜひ最後までお読みください。

目次
- 保全命令のメリット:権利を確実に実現できる
- 保全命令のデメリット:担保や手数料が必要
- 保全命令申立ての条件:被保全権利と保全必要性
- 保全命令申立ての手続き:書類作成から執行まで
- まとめ:保全命令は裁判に勝つための強力な武器


保全命令のメリット:権利を確実に実現できる


保全命令の最大のメリットは、裁判に勝っても負けるような事態を防ぐことができるという点です。

例えば、あなたが契約違反や不法行為などで相手方から損害賠償や返還などを求めて裁判を起こしたとします。しかし、相手方は裁判中に財産を隠したり売ったりしてしまいました。その結果、あなたが勝訴しても強制執行で財産を差し押さえることができず、債権が回収できなくなってしまいます。

このような場合、あらかじめ保全命令を申し立てておけば、相手方は財産を処分できなくなります。もし処分されてしまっても、売却先に対しても強制執行が可能です。つまり、あなたは自分の権利を確実に実現できるのです。

また、保全命令は相手方に対して強い圧力となります。相手方は財産が差し押さえられていることで不利益を被りますし、裁判所からも不当な行為者と見られます。そのため、相手方は早期に和解や履行に応じる可能性が高くなります。これは時間や費用の節約にもつながります。


保全命令のデメリット:担保や手数料が必要


保全命令にはメリットがありますが、デメリットもあります。その一つは、担保や手数料が必要となることです。

担保とは、保全命令によって相手方が被る損害を補償するために、申立人が裁判所に供託する金銭や有価証券のことです。裁判所は保全命令を出す前に担保の提供を求めることがあります。担保の金額は裁判所の裁量によって決まりますが、一般的には被保全権利の額の10~20%程度です。

担保は本案の訴訟で勝訴すれば返還されますが、敗訴すれば相手方に渡されます。また、担保を提供できない場合は、保全命令の申立てが却下される可能性があります。

手数料とは、保全命令の申立てや執行にかかる費用のことです。手数料は収入印紙で支払います。手数料の額は、仮差押えや仮処分の種類や対象財産の種類や価額などによって異なります。詳しくは裁判所に問い合わせるか、民事執行法施行規則第2条から第5条までを参照してください。

手数料は本案の訴訟で勝訴すれば相手方から回収できますが、敗訴すれば自己負担となります。また、手数料を支払わない場合は、保全命令の申立てや執行ができません。


保全命令申立ての条件:被保全権利と保全必要性


保全命令を申し立てるには、次の2つの条件を満たしている必要があります。

- 保全すべき権利・権利関係がある(被保全権利の存在)
- 保全の必要性がある

被保全権利の存在とは、貸金請求権や慰謝料請求権など、保全が必要な権利を有していることです。この権利は本案訴訟で争われるものでなければなりません。また、この権利は明らかでなくてもかまいませんが、「一応確からしい」と裁判所に認められる程度の根拠や証拠を示さなければなりません。

保全の必要性とは、本案判決を待たずに早急に保全しなければいけない理由のことです。この理由は具体的で現実的でなければなりません。たとえば、「相手方が財産を隠したり売ったりするおそれがある」「相手方が工事を進めたり物件を引き渡したりするおそれがある」「相手方が自分の地位を否定したり侵害したりするおそれがある」などです。


保全命令申立ての手続き:書類作成から執行まで


保全命令申立ての手続きは、次のような流れで進めていきます- 保全命令の申立て書類を作成する。申立て書類には、被保全権利の存在と保全の必要性を示す事実や証拠を記載する。また、仮差押えや仮処分の種類や対象財産の詳細、担保の提供方法なども記載する。申立て書類の様式は裁判所によって異なるので、事前に確認することが望ましい。

- 保全命令の申立て書類を裁判所に提出する。申立て書類には収入印紙を貼っておく必要がある。また、担保の提供が必要な場合は、同時に供託するか、供託する旨の誓約書を添付する。

- 裁判所が保全命令の可否を判断する。裁判所は申立て書類を審査し、必要に応じて申立人や相手方に対して聴取や意見聴取を行う。裁判所は被保全権利の存在と保全の必要性が認められると判断した場合に、保全命令を出す。裁判所は保全命令を出す際に、担保の提供やその金額を指定することがある。

- 裁判所が保全命令を相手方に送達する。裁判所は保全命令を相手方に郵送または直接渡すことで送達する。送達された時点で、相手方は財産の処分が制限される。

- 申立人が保全命令を執行する。申立人は裁判所から受け取った保全執行文書という書類を持って、執行官に依頼して財産の差し押さえや使用禁止などの執行を行う。執行官は相手方に対して執行内容や期限などを通知し、必要な措置をとる。

以上が、保全命令申立ての手続きの流れです。保全命令は裁判に勝つための強力な武器ですが、その反面、担保や手数料などの費用やリスクもあります。また、手続きも複雑で時間がかかる場合もあります。そのため、保全命令を申し立てるかどうかは、慎重に判断する必要があります。


まとめ:保全命令は裁判に勝つための強力な武器


この記事では、保全命令という裁判に関する重要な手続きについて詳しく解説しました。

保全命令とは、裁判が終わるまでの間、相手方が財産を隠したり売ったりしてしまうことを防ぐために、裁判所が出す命令です。保全命令は、権利を確実に実現できるメリットがありますが、担保や手数料などのデメリットもあります。

保全命令を申し立てるには、被保全権利の存在と保全の必要性という2つの条件を満たしている必要があります。また、申立て書類の作成から執行までの手続きも正しく行わなければなりません。

保全命令は、裁判に勝つための強力な武器ですが、その反面、費用やリスクもあります。また、手続きも複雑で時間がかかる場合もあります。そのため、保全命令を申し立てるかどうかは、慎重に判断する必要があります。

この記事が、保全命令について知りたい方の参考になれば幸いです。

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