【資本主義の次に来る世界】ジェイソン・ヒッケルが描く成長に依存しない未来とは?
今回は、経済人類学者であり、『資本主義の次に来る世界』の著者でもあるジェイソン・ヒッケルについて紹介したいと思います。
この本は、資本主義の成長志向が人間や地球にもたらす危機を分析し、成長を必要としないポスト資本主義の社会を描く希望の書です。この記事では、以下の3つの見出しでジェイソン・ヒッケルの考え方を解説していきます。
- 資本主義はなぜ人間と自然を分離したのか?
- ポスト資本主義への道はどう歩むべきか?
- 生物界と交流する文化とは何か?
資本主義はなぜ人間と自然を分離したのか?
ジェイソン・ヒッケルは、資本主義が成立する前の人類史を振り返ります。彼によると、人類は長い間、自然や他の生き物と共生するアニミズム的な世界観を持っていました。
しかし、16世紀以降、ヨーロッパでデカルトやニュートンなどの思想家が登場し、人間と自然を二元的に分離する理性主義や機械論が広まりました。
これにより、自然や身体は人間の支配や利用の対象となり、「外部化」されました。また、資本主義は市場や消費を拡大するために、「ニーズ」や「欲求」を人為的に創出しました。これらのプロセスによって、人間は自然から切り離され、不満や不安に苛まれるようになったのです。
ポスト資本主義への道はどう歩むべきか?
ジェイソン・ヒッケルは、資本主義がもたらす成長の限界や環境破壊を指摘し、成長から脱却する必要性を説きます。彼は、成長を必要としないポスト資本主義へ移行するために、以下のような具体的な提案をします。
- 資源やエネルギーの消費量を持続可能なレベルに減らす
- 民主主義を強化し、所得や富の格差を是正する
- 債務や金利を廃止し、公共貨幣制度を導入する
- 市場ではなく共同体や協同組合で経済活動を行う
- ニーズではなく欲求に基づく消費から脱却する
これらの提案は一見非現実的に見えるかもしれませんが、実際には多くの国や地域で実践されている事例があります。
例えば、ブータンでは国民総幸福度(GNH)という指標で国家政策を決めており、経済成長よりも人々の幸せや環境保護を優先しています。
また、スペインのバスク地方では、モンドラゴン協同組合という巨大な労働者組合があり、従業員が所有権や経営権を持ち、利益や決定権を平等に分配しています。これらの事例は、ポスト資本主義の可能性を示しています。
生物界と交流する文化とは何か?
ジェイソン・ヒッケルは、資本主義の二元論に対抗するアニミズム的な世界観を再発見することの重要性を強調します。
彼は、自然や他の生き物と共生する文化やコミュニティを紹介し、その知恵や価値観に学ぶべきだと主張します。
例えば、彼の故郷であるエスワティニでは、人々は自然や祖先と対話し、感謝や敬意を表します。また、アマゾンの先住民族であるアシャニンカ族は、植物や動物とコミュニケーションを取り、彼らから教えを受けます。これらの文化は、人間と自然が分離されていないことを示しています。
ジェイソン・ヒッケルは、資本主義の次に来る世界は、成長に依存しない社会であり、人間と自然が互恵的に関わる社会であると描きます。彼は、この夢が現実になるためには、わたしたちが自分たちの世界観や価値観を変える必要があると説きます。
彼は、「少なく取ることによって、はるかに多くを得た」ことを体験した老人の姿を想像し、そのような未来に向かって歩み始めることを呼びかけます。
まとめ
この記事では、ジェイソン・ヒッケルの『資本主義の次に来る世界』について紹介しました。この本は、資本主義の成長志向がもたらす危機を分析し、成長を必要としないポスト資本主義の社会を描く希望の書です。ジェイソン・ヒッケルは、以下の3つの見出しでその内容を展開しています。
- 資本主義はなぜ人間と自然を分離したのか?
- ポスト資本主義への道はどう歩むべきか?
- 生物界と交流する文化とは何か?
この本は、わたしたちが自分たちの世界観や価値観を変えることで、人間と自然が共生する未来に近づけることを教えてくれます。このテーマに興味がある方はぜひ読んでみてください。それではまた!
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