日本のマネーサプライが急増している理由とその影響について

こんにちは、このブログでは経済や金融に関する話題を取り上げています。今回は、日本のマネーサプライが急増している理由とその影響についてお話ししたいと思います。マネーサプライとは、経済に流通しているお金の総量のことで、金融政策や景気動向の重要な指標となります。では、日本のマネーサプライはどのように推移しているのでしょうか。この記事では、以下の3つの点について解説します。

- 日本のマネーサプライの現状と推移
- マネーサプライが急増している主な要因
- マネーサプライの増加がもたらす経済的影響

それでは、早速見ていきましょう。


日本のマネーサプライの現状と推移


日本銀行が毎月発表しているマネーストック統計によると、2023年4月時点で、日本のマネーサプライM2(現金通貨と預金通貨を合わせたもの)は約1,087兆円です。これは前年同月比で9.1%も増加しており、過去最高の伸び率を記録しています。また、マネーサプライM3(M2に準通貨を加えたもの)も約1,390兆円で、前年同月比で7.5%増加しています。

第1図²を見ると、日本のマネーサプライは2020年半ばから急激に加速していることが分かります。これは、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の感染拡大に伴う政府や日本銀行の対応策が大きく影響しています。具体的には、どのような要因がマネーサプライの増加に寄与しているのでしょうか。次の章で詳しく見ていきましょう。


マネーサプライが急増している主な要因


マネーサプライは、金融機関の与信行動と、企業や家計などの通貨需要の相互作用によって変動します。今回見られているマネーサプライの急増は、主に以下の3つの要因によって引き起こされています。

- 一般法人向け銀行貸出の増加
- 家計への財政移転(特別定額給付金など)の増加
- 家計支出の減少

それぞれ詳しく見ていきましょう。


一般法人向け銀行貸出の増加


コロナ下で資金繰り上の困難に直面している企業への支援策として、政府は実質無利子・無担保融資等³を進めています。これに対応して、日本銀行も量的・質的金融緩和(QQE)を拡大し、金融機関の資金供給を強化しています。

その結果、一般法人向けの銀行貸出は増加傾向にあります。特に、大企業及び中小企業向けの銀行貸出は2020年4月から2021年3月までの1年間で約50兆円も増加しています。

銀行貸出が増えると、その分だけマネーサプライも増えます。しかし、この場合のマネーサプライの増加は、企業の投資や消費を刺激するものではなく、資金繰りを維持するためのものです。したがって、この要因によるマネーサプライの増加は、景気回復に直接的な効果は期待できません。


家計への財政移転の増加


コロナ下で収入減や失業に苦しむ家計への支援策として、政府は特別定額給付金や持続化給付金などを実施しています。これらは家計への財政移転と呼ばれるもので、政府が税金や借金を使って家計に直接的にお金を渡すことです。これらの支援策は、2020年度に約20兆円もの規模に達しました。

財政移転が増えると、その分だけマネーサプライも増えます。しかし、この場合のマネーサプライの増加は、家計の消費を刺激するものではなく、所得を補填するためのものです。したがって、この要因によるマネーサプライの増加は、景気回復に直接的な効果は期待できません。


家計支出の減少


コロナ下では、外出自粛や営業自粛などによって家計の支出が減少しています。特に、サービス消費(飲食・旅行・娯楽など)が大きく落ち込んでいます。2020年度における家計消費支出は前年度比で5.3%減少し、過去最大の落ち込みを記録しました。

家計支出が減ると、その分だけマネーサプライも増えます。なぜなら、家計が消費しなかったお金は預金として残るからです。実際に、個人預金は2020年度に約40兆円も増加しました。この場合のマネーサプライの増加は、家計の需要不足を反映するものです。したがって、この要因によるマネーサプライの増加は、景気回復に逆効果となります。


マネーサプライの増加がもたらす経済的影響


以上で見てきたように、日本のマネーサプライが急増している理由は、コロナ下で政府や日本銀行が行った対応策や家計支出の減少によるものです。では、このようなマネーサプライの増加が経済にどのような影響を及ぼすかというと、以下のような影響が考えられます。

- インフレ圧力の低下
- 経済成長率の低下
- 財政赤字の拡大

それぞれ詳しく見ていきましょう。


インフレ圧力の低下


マネーサプライが増えると、通常はインフレ圧力が高まると考えられます。なぜなら、お金が増えれば、物価も上がるからです。しかし、今回の場合は、マネーサプライの増加が需要を刺激するものではなく、供給を維持するものであることを説明しました。

つまり、お金が増えても、それに対応する商品やサービスが増えていないのです。このような状況では、インフレ圧力は低下します。実際に、日本の消費者物価指数(CPI)は2020年度に前年度比で0.2%減少し、デフレに陥りました。

インフレ圧力が低下すると、経済活動に悪影響を及ぼします。なぜなら、インフレが低いと、企業や家計は将来の物価上昇を期待せず、投資や消費を控えるからです。

また、インフレが低いと、実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いたもの)が高くなり、借り入れや返済に負担がかかるからです。さらに、インフレが低いと、日本円が高くなり、輸出や観光に不利になるからです。これらの要因は、経済成長率を低下させます。


経済成長率の低下


マネーサプライの増加がインフレ圧力を低下させることで経済成長率を低下させることは説明しましたが、それだけではありません。マネーサプライの増加自体も経済成長率を低下させる可能性があります。なぜなら、マネーサプライの増加は、経済に流通しているお金の効率性(ベロシティ)を低下させるからです。

ベロシティとは、一定期間内にお金がどれだけ回転しているかを示す指標です。例えば、あなたが100円を使ってコーヒーを買ったとします。

その100円はコーヒー屋さんに入りますが、コーヒー屋さんはその100円を使ってパンを買います。

その100円はパン屋さんに入りますが、パン屋さんはその100円を使って新聞を買います。

このようにして、1日で3回も回転した100円は、300円分の経済活動を生み出します。この場合のベロシティは3です。

しかし、あなたが100円を使わずに貯金したとします。その100円は銀行に入りますが、銀行もその100円を貸し出さずに預けます。

その100円は日本銀行に入りますが、日本銀行もその100円を使わずに保有します。このようにして、1日で0回しか回転しなかった100円は、0円分の経済活動しか生み出しません。この場合のベロシティは0です。

ベロシティが低いということは、お金が経済に十分に流れていないということです。お金が経済に流れなければ、経済成長は期待できません。

実際に、日本のマネーサプライM2のベロシティは、2020年度に0.51と過去最低を記録しました。これは、マネーサプライが増えても、それが経済活動に反映されていないことを示しています。


財政赤字の拡大


マネーサプライの増加が財政赤字の拡大につながるというのは、直感的に分かりにくいかもしれません。なぜなら、マネーサプライの増加は、政府や日本銀行がお金を刷っているように見えるからです。

しかし、実際には、政府や日本銀行がお金を刷っているわけではありません。政府は借金をしてお金を得ています。日本銀行は国債を買ってお金を供給しています。つまり、マネーサプライの増加は、政府や日本銀行の負債の増加と同じことです。

政府や日本銀行の負債が増えると、その分だけ利払いや返済の負担も増えます。特に、政府の財政赤字は、国民の将来の税負担や社会保障の削減につながります。

実際に、日本の国債残高は2020年度末で約1,200兆円に達し、GDP比で約240%と世界最高水準です。このような財政状況は、経済の持続可能性や信頼性を損なう恐れがあります。


まとめ


今回は、日本のマネーサプライが急増している理由とその影響についてお話ししました。コロナ下で政府や日本銀行が行った対応策や家計支出の減少が主な要因であることを説明しました。

また、マネーサプライの増加がインフレ圧力や経済成長率を低下させたり、財政赤字を拡大させたりする可能性があることを解説しました。

この記事を読んでいただきありがとうございます。日本のマネーサプライに関する話題は非常に興味深くて重要だと思います。私自身もこのテーマについてもっと勉強したいと思っています。


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