【錯視の達人】明治大学研究特別教授・杉原厚吉の不思議な立体作品に迫る

今回は、錯視の世界に魅了された数理工学者、明治大学研究特別教授・杉原厚吉先生の不思議な立体作品についてご紹介したいと思います。この記事では、次のような内容をお伝えします。

- 杉原先生のプロフィールと錯視研究の経歴
- 杉原先生が創り出した不思議な立体作品の種類と特徴
- 杉原先生が世界錯覚コンテストで4度も優勝した秘訣と作品の見方

錯視とは、目で見たものと実際のものが一致しない現象です。

例えば、直線に見えるものが実は曲線だったり、同じ大きさに見えるものが実は違ったり、あり得ない形に見えるものが実はあり得る形だったりします。

錯視は、私たちの脳が目で見た情報を解釈する際に起こる誤りや偏りによって引き起こされます。しかし、錯視は単なる間違いではなく、私たちの知覚や認知の仕組みを探る手がかりにもなります。


杉原先生のプロフィールと錯視研究の経歴


杉原厚吉先生は、1948年に岐阜県高山市に生まれました。東京大学工学部計数工学科を卒業後、電子技術総合研究所や名古屋大学で研究を行いました。

1980年に東京大学から工学博士の学位を取得しました。その後、東京大学工学部や大学院情報理工学系研究科で教授を務めました。

2009年からは明治大学研究・知財戦略機構特任教授として活動し、2019年からは研究特別教授として現在に至ります。

杉原先生の専門は数理工学や計算幾何学です。

数理工学とは、数学的な手法やモデルを用いて自然現象や工学的問題を解析する分野です。計算幾何学とは、幾何的な図形や空間に関する計算問題を扱う分野です。

杉原先生は、これらの分野で多くの業績を残しています。

しかし、杉原先生は、数理工学や計算幾何学だけでなく、錯視やだまし絵といった普通でないグラフィックスの数理にも興味を持っています。

特に、不可能図形と呼ばれるあり得ない形を描くだまし絵や不可能立体と呼ばれるあり得ない形を作る立体に関する研究が有名です。

不可能図形や不可能立体は、一見するとあり得そうに見えますが、よく見ると矛盾やパラドックスがあるものです。例えば、エッシャーの作品に登場する無限階段やペンローズの三角形などが有名です。

杉原先生は、コンピュータビジョンの研究の中で、不可能図形を立体化する方法を発見しました。これは、不可能図形の中には、実は立体として作れるものがあるということです。

その秘訣は、直角に見えるところに直角以外の角度を使うというものです。

これによって、視点を少し動かしてもトリックがわかりにくく、錯覚が起き続ける立体を作ることができます。杉原先生は、この方法で作った立体を「だまし絵立体」と呼んでいます。


杉原先生が創り出した不思議な立体作品の種類と特徴


杉原先生は、だまし絵立体から出発して、あり得ないという印象を起こさせることのできる立体をいろいろ創ってきました。私はこれらを総称して不可能立体と呼んでいます。杉原先生が創ってきた不可能立体を分類すると、次のような種類があります。

不可能モーション立体


不可能モーション立体とは、立体自体はありふれた形に見えるのに、そこに動きを加えるとあり得ないことが起こっているという印象を作り出す立体です。

例えば、回転する円柱が回転方向によって長さが変わったり、回転する球が回転方向によって大きさが変わったりします。これらの立体は、錯視やだまし絵ではなく、本物の動きを持つ立体です。

しかし、その動きは私たちの直感や物理法則に反するものです。杉原先生は、これらの立体を「不可能モーション」と呼んでいます。

不可能モーション立体の作り方は、実は簡単です。円柱や球などの基本的な形に対して、適切な歪みや傾斜を加えるだけです。

しかし、その歪みや傾斜は目に見えないほど微妙なものです。そのため、回転しない状態では普通の形に見えます。しかし、回転すると歪みや傾斜が効いてきて、不思議な動きが現れます。

不可能モーション立体は、私たちの視覚システムが回転する物体を認識する際に使う手がかりや仮定を利用しています。例えば、私たちは回転する物体の長さや大きさが一定であると仮定しています。

実際には長さや大きさが変わる物体も存在します。不可能モーション立体は、このような仮定と現実とのずれを利用して錯覚を引き起こします。


多義的錯視立体


多義的錯視立体とは、同じ立体でも見る方向によって全く違う形に見える錯視立体です。例えば、正面から見ると正方形に見えるけれど横から見ると三角形に見えたりします。

これらの立体は、「多義的図形」と呼ばれるだまし絵と呼ばれる図形です。多義的図形とは、同じ図形でも見る方向によって異なる解釈ができる図形です。例えば、ネッカーの立方体やルビンの壺などが有名です。

多義的錯視立体は、多義的図形を立体化したものです。しかし、単に立体化するだけではなく、見る方向によって異なる図形が現れるように工夫されています。例えば、正面から見ると正方形に見えるけれど横から見ると三角形に見える立体は、

正面から見たときには正方形の部分だけが目立つように色や模様をつけています。横から見たときには三角形の部分だけが目立つように色や模様をつけています。このようにして、視覚的な強調や隠蔽を使って、多義的な錯視を作り出しています。

多義的錯視立体は、私たちの視覚システムが物体の形を認識する際に使う手がかりや仮定を利用しています。

私たちは物体の色や模様が一定であると仮定しています。しかし、実際には色や模様が変わる物体も存在します。多義的錯視立体は、このような仮定と現実とのずれを利用して錯視を引き起こします。


不可能オブジェ


不可能オブジェとは、実在する物体や生き物を不可能図形や不可能立体に変換した作品です。例えば、ペンローズの三角形になったゾウや無限階段になった猫などがあります。これらの作品は、私たちが普段見慣れたものをあり得ない形に変えることで、驚きや違和感を与えます。

不可能オブジェの作り方は、実在する物体や生き物の写真やイラストをコンピュータで加工することで行われます。まず、不可能図形や不可能立体のパターンを作ります。次に、そのパターンに沿って物体や生き物の画像を切り貼りします。最後に、色や影などの細かい調整をして完成させます。

不可能オブジェは、私たちの知識や経験と矛盾するものを見せることで錯覚を引き起こします。例えば、私たちはゾウが三角形になることはあり得ないと知っています。しかし、不可能オブジェではゾウが三角形になっています。このようにして、私たちの認知システムが混乱し、錯覚が起こります。


杉原先生が世界錯覚コンテストで4度も優勝した秘訣と作品の見方


杉原先生は、これらの不思議な立体作品を世界中で発表しています。特に有名なのは、「世界錯覚コンテスト」というイベントです。これは、毎年開催される錯視やだまし絵の作品を競うコンテストで、世界中から多くの参加者が集まります。杉原先生は、このコンテストで4度も優勝しています。その作品は、次のようなものです。

- 2008年:不可能モーション立体「回転する円柱」
- 2010年:多義的錯視立体「正方形と三角形」
- 2013年:不可能オブジェ「ペンローズの三角形になったゾウ」
- 2016年:不可能オブジェ「無限階段になった猫」

杉原先生が世界錯覚コンテストで4度も優勝した秘訣は、何でしょうか。私は、次のような点があると思います。

- 数理工学や計算幾何学の知識と技術を活かして、正確で洗練された作品を作ること。
- 不可能図形や不可能立体の原理や法則を深く理解して、新しい発想や応用をすること。
- 実在する物体や生き物を使って、親しみやすくてインパクトのある作品を作ること。
- 視点や動きを変えても錯覚が持続するように、細かい工夫や調整をすること。

杉原先生の作品を見るときには、次のようなことに注意してみてください。

- 視点や動きを変えてみること。同じ立体でも違う形に見えたり、不思議な動きが起こったりします。

- 立体の構造や色や模様に注目すること。錯視のトリックが隠されているかもしれません。

- 立体の意味やメッセージに思いを馳せること。杉原先生は、作品に対して自分なりの解釈や感想を持っています。


まとめ


今回は、明治大学研究特別教授・杉原厚吉先生の不思議な立体作品についてご紹介しました。杉原先生は、数理工学や計算幾何学の専門家として、不可能図形や不可能立体の数理に深く関わっています。

また、錯視やだまし絵の作家として、世界中で高い評価を受けています。杉原先生の作品は、私たちの視覚や認知を挑発し、驚きや楽しみを与えてくれます。ぜひ、杉原先生の作品を見てみてください。きっと、目からウロコが落ちるような体験ができるでしょう。

コメント

このブログの人気の投稿

【遠野物語】の世界に浸れる!遠野地方の観光スポット10選

【卒業生には向かない真実】失望・・、すべてを台無しにされた三部作の衝撃的展開【ホリー・ジャクソン】

【日曜劇場『VIVANT』】堺雅人、阿部寛ら豪華俳優陣が繰り広げる限界突破のアドベンチャードラマ!

【2023年のハロウィン】今年はどんな仮装が流行る?最新のトレンドやおすすめの飾り付けを紹介!

【赤羽~熱海のグリーン車に乗る方法】JR東日本の普通列車グリーン車の魅力と注意

【ホームレスワールドカップ】ドリーム~狙え、人生逆転ゴール!~の感動と教訓

【タイムウェーバーを徹底調査】ドイツ発祥のエネルギー分析システムで心身の不調を解消する?効果って本当にあるのか?!

【五行思想と四大元素説の違い】東西の自然哲学を比較してみた

【赤マムシドリンク】まむしエキスが入った栄養ドリンクの効果とは?飲んでみた感想も紹介!