【湿球温度】暑さの危険度を知るために必要な指標とは?
夏が近づいてきて、熱中症の予防が気になる季節ですね。熱中症は、気温だけでなく、湿度や日射などの環境要因によっても起こりやすくなります。そこで、今回は暑さの危険度を知るために必要な指標である「湿球温度」についてご紹介したいと思います。
この記事では、以下の内容をお伝えします。
- 湿球温度とは何か?
- 湿球温度が高いとどうなるか?
- 湿球温度を下げる対策はあるか?
それでは、早速見ていきましょう。
湿球温度とは何か?
湿球温度とは、湿らせたガーゼで覆った温度計が示す温度のことです。水分が蒸発すると潜熱が奪われるため、温度が下がります。そのため、湿球温度は乾球温度(普通の温度計が示す温度)よりも低くなります。しかし、湿度が高いと水分の蒸発が阻害されるため、湿球温度は乾球温度に近づきます。
湿球温度は、人体の汗の蒸発による冷却効果を反映した指標です。汗をかいても蒸発しなければ体温が下がらず、熱中症になりやすくなります。そのため、気温だけでなく、湿球温度もチェックすることが重要です。
湿球温度が高いとどうなるか?
湿球温度が高いということは、人体の冷却能力が低下するということです。体内に熱がこもってしまい、体温調節がうまくできなくなります。その結果、熱中症や熱射病などの重篤な健康被害を引き起こす可能性があります。
実際に、湿球温度と熱中症患者発生率には強い相関関係があります。国立環境研究所によると⁸、WBGT(湿球黒球温度)と呼ばれる暑さ指数が28℃を超えると熱中症患者発生率が急増することが分かっています。WBGTは湿球温度だけでなく、日射や気流の影響も考慮した指標で、屋外ではWBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度で算出されます。
また、湿球温度が35℃を超えるということは、人間が自然に生きられない条件に達するということです。これは人体の皮膚表面の平均的な温度(約35℃)よりも高いため、汗をかいても体から熱を放出できなくなるからです。このような状況では、人間は数時間以内に致死的な体温上昇を起こしてしまいます。
湿球温度を下げる対策はあるか?
湿球温度を下げるには、水分の蒸発を促進することが必要です。そのためには、以下のような対策が有効です。
- 気流を作る:扇風機やエアコンなどで空気の流れを作り、汗の蒸発を助けます。ただし、エアコンの設定温度は28℃程度にして、過度な冷房は避けましょう。
- 湿度を下げる:除湿機や空調機器で室内の湿度を下げます。目安としては、相対湿度は60%以下にすると良いでしょう。
- 日射を遮る:カーテンやブラインド、日傘などで直射日光を遮ります。日射は体温の上昇や黒球温度の上昇につながります。
- 水分補給をする:汗で失われた水分と塩分をこまめに補給します。水だけでなく、スポーツドリンクや麦茶なども有効です。ただし、アルコールやカフェインは利尿作用があるため、逆効果です。
- 適切な服装をする:通気性や吸湿性の良い素材の服を着ます。色は白や淡色が好ましく、黒や濃色は避けましょう。また、帽子やサングラスなどで頭部や目を保護します。
以上、湿球温度についてご紹介しました。暑さの危険度を知るために必要な指標であることがお分かりいただけたと思います。暑い日が続く中、熱中症には十分に注意してくださいね。それでは、またお会いしましょう。
コメント
コメントを投稿