【ホッケースティック論争】地球温暖化の証拠は本当か?科学者たちの攻防を追う

今回は、地球温暖化の証拠として有名な「ホッケースティック曲線」に関する論争について、わかりやすく解説していきます。

この記事では、以下の内容についてお話しします。

- ホッケースティック曲線とは何か?
- ホッケースティック論争とは何か?
- ホッケースティック論争の主な登場人物と主張は?
- ホッケースティック論争の現在の状況と今後の展望は?

それでは、早速始めましょう。


【ホッケースティック曲線とは何か?】


ホッケースティック曲線とは、過去1000年以上の地球の平均気温の変化を示すグラフのことです。

このグラフは、1998年にアメリカの古気候学者マイケル・マンらが発表した論文で初めて紹介されました。

このグラフは、木の年輪や氷床コアなどの自然記録から推定された気温データをもとに作られています。

その形がホッケーのスティックに似ていることから、ホッケースティック曲線と呼ばれるようになりました。

このグラフによると、約1000年間は気温がほぼ一定だったのに対し、20世紀後半に急激に上昇しています。

特に、20世紀末の気温は過去1000年間で最も高い水準に達しています。

このグラフは、人為的な地球温暖化の証拠として注目されました。

2001年には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第3次報告書で採用されました²。IPCCは、国連が設立した気候変動に関する科学的な権威機関です。

このグラフは、世界中で多くのメディアや政治家に取り上げられました。地球温暖化対策の必要性を訴える人々にとって、強力な武器となりました。

しかし、このグラフに対しても、様々な批判や異論が出されました。それが、ホッケースティック論争です。


【ホッケースティック論争とは何か?】


ホッケースティック論争とは、マンらが作成したホッケースティック曲線の信頼性や正確性をめぐる科学的な議論や批判です。

この論争は、1998年から現在まで続いています。

この論争では、以下のような問題点が指摘されました。

- マンらが使用した気温データの選択や処理に誤りや不正があったのではないか

- マンらが使用した統計手法に欠陥や偏りがあったのではないか

- マンらが無視した気温データや他の研究結果によると、過去にも高温期や低温期があったのではないか

- マンらが公開しなかったデータやソースコードによって、ホッケースティック曲線を再現できないのではないか

この論争には、主に以下のような人々が関わっています。

- マイケル・マン:ホッケースティック曲線の作成者で、ペンシルベニア州立大学の教授。自身の研究を擁護し、批判者を非難している。

- スティーブン・マッキンタイア:カナダの統計学者で、ホッケースティック曲線の最大の批判者。マンらのデータや手法に多くの問題点を指摘し、再現できないことを示した。 

- ロス・マクキトリック:カナダの経済学者で、マッキンタイアと共同でホッケースティック曲線に対する論文を発表した。

- ウィリー・スーン:アメリカの天文学者で、中世温暖期や小氷期などの自然変動を主張する論文を発表した。

- ジョン・クリスティ:アメリカの気象学者で、地球温暖化に対する懐疑的な立場をとる。ホッケースティック曲線に対しても批判的な見解を示した。

- ジェラルド・ノース:アメリカの気候学者で、アメリカ科学アカデミー(NAS)の委員会の委員長を務めた。ホッケースティック曲線に対する調査報告書をまとめた。

この論争は、科学的な議論だけでなく、政治的や社会的な影響も及ぼしました。地球温暖化対策に賛成する人々と反対する人々の間で、激しい攻防が繰り広げられました。


【ホッケースティック論争の主な登場人物と主張は?】


それでは、ホッケースティック論争における主な登場人物とその主張について、詳しく見ていきましょう。


マイケル・マン

マイケル・マンは、ホッケースティック曲線の作成者であり、ペンシルベニア州立大学の地球科学部門の教授です。彼は自身の研究を擁護し、批判者を非難しています。

彼は以下のような主張をしています。

- ホッケースティック曲線は、多くの自然記録から得られた信頼性の高い気温データをもとに作成された。

- ホッケースティック曲線は、統計的に妥当な手法を用いて気温変化を再現した。

- ホッケースティック曲線は、他の研究者による多数の独立した気温復元結果と一致している。

- ホッケースティック曲線は、20世紀後半の気温上昇が人為的な地球温暖化の証拠であることを示している。

- ホッケースティック曲線に対する批判は、科学的な根拠や証拠に基づいていない。

- ホッケースティック曲線に対する批判は、地球温暖化対策に反対する政治的や経済的な利益に動かされている。

- ホッケースティック曲線に対する批判は、自身や同僚の名誉や信用を傷つける中傷や嫌がらせである。

マンは、自身の立場や経緯を述べた著書『ホッケースティックと気候戦争』を2012年に出版しました。また、自身のブログやツイッターで、ホッケースティック論争に関する情報や意見を発信しています。


スティーブン・マッキンタイア

スティーブン・マッキンタイアは、カナダの統計学者であり、ホッケースティック曲線の最大の批判者です。彼はマンらのデータや手法に多くの問題点を指摘し、再現できないことを示しました。

彼は以下のような主張をしています。

- マンらが使用した気温データの選択や処理に誤りや不正があった。

- マンらが使用した統計手法に欠陥や偏りがあった。

- マンらが無視した気温データや他の研究結果によると、過去にも高温期や低温期があった。

- マンらが公開しなかったデータやソースコードによって、ホッケースティック曲線を再現できなかった。

マッキンタイアは、カナダの経済学者ロス・マクキトリックと共同で、ホッケースティック曲線に対する論文を発表しました。また、自身のブログで、ホッケースティック論争に関する情報や意見を発信しています。


ウィリー・スーン

ウィリー・スーンは、アメリカの天文学者であり、中世温暖期や小氷期などの自然変動を主張する論文を発表しました。

彼はホッケースティック曲線を否定し、地球温暖化に対する懐疑的な立場をとっています。

彼は以下のような主張をしています。

- ホッケースティック曲線は、過去の気温変動を過小評価している。

- ホッケースティック曲線は、自然記録の一部しか使用していない。

- ホッケースティック曲線は、統計的に不正確であり、信頼できない。

- ホッケースティック曲線は、政治的な目的に利用されている。

- ホッケースティック曲線は、地球温暖化の原因が人為的であることを証明していない。

スーンは、自身の研究に対する批判や疑惑に対しても、自身の立場を擁護し、批判者を非難しています。彼は自身のツイッターで、ホッケースティック論争に関する情報や意見を発信しています。


ジョン・クリスティ

ジョン・クリスティは、アメリカの気象学者であり、地球温暖化に対する懐疑的な立場をとっています。彼はホッケースティック曲線に対しても批判的な見解を示しました。

彼は以下のような主張をしています。

- ホッケースティック曲線は、気温データの不確実性や誤差を考慮していない。

- ホッケースティック曲線は、気温データの代理指標として不適切なものを使用している。

- ホッケースティック曲線は、気温データの統計処理に問題がある。 
- ホッケースティック曲線は、気温データの再現性や検証性が低い。

- ホッケースティック曲線は、気温データの公開や共有が不十分である。

クリスティは、自身の研究や見解を発表した論文や著書があります。また、自身のブログやツイッターで、ホッケースティック論争に関する情報や意見を発信しています。


ジェラルド・ノース

ジェラルド・ノースは、アメリカの気候学者であり、アメリカ科学アカデミー(NAS)の委員会の委員長を務めました。彼はホッケースティック曲線に対する調査報告書をまとめました。

彼は以下のような主張をしています。

- ホッケースティック曲線は、気温データの選択や処理に問題があったが、その影響は小さかった。

- ホッケースティック曲線は、統計手法に欠陥があったが、その影響は小さかった。

- ホッケースティック曲線は、他の気温復元結果とほぼ一致しており、信頼できる。

- ホッケースティック曲線は、20世紀後半の気温上昇が異常であることを示しており、重要な情報である。

ノースは、自身の立場や経緯を述べた著書『ホッケースティックの真実』を2006年に出版しました。また、自身のブログやツイッターで、ホッケースティック論争に関する情報や意見を発信しています。


【ホッケースティック論争の現在の状況と今後の展望は?】


それでは、ホッケースティック論争の現在の状況と今後の展望について、見ていきましょう。

ホッケースティック論争は、現在も続いています。マンらとマッキンタイアらは、相互に批判や反論を繰り返しています。

スーンやクリスティなどの懐疑的な研究者も、自身の見解を発表し続けています。

一方で、ノースらの調査報告書やIPCCの第4次報告書などでは、ホッケースティック曲線に対する支持や評価が示されています。

また、他の研究者による多数の気温復元結果も、ホッケースティック曲線とほぼ一致しています。

ホッケースティック論争は、科学的な議論だけでなく、政治的や社会的な影響も及ぼしています。地球温暖化対策に賛成する人々と反対する人々の間で、激しい攻防が繰り広げられています。

ホッケースティック論争は、今後も終わりそうにありません。しかし、この論争は、気候変動の科学的な理解や対策に貢献する可能性もあります。

データや手法の公開や検証、多様な視点や意見の交流などが、より良い科学を生み出すことができるかもしれません。


【まとめ】


この記事では、地球温暖化の証拠として有名な「ホッケースティック曲線」に関する論争について、わかりやすく解説しました。

以下は、この記事の要約です。

- ホッケースティック曲線とは、過去1000年以上の地球の平均気温の変化を示すグラフである。

- ホッケースティック論争とは、マンらが作成したホッケースティック曲線の信頼性や正確性をめぐる科学的な議論や批判である。

- ホッケースティック論争には、マンらとマッキンタイアらを中心とした多くの科学者が関わっている。

- ホッケースティック論争は、現在も続いており、科学的だけでなく政治的や社会的な影響も及ぼしている。

- ホッケースティック論争は、気候変動の科学的な理解や対策に貢献する可能性もある。

以上で、この記事は終わりです。最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が、ホッケースティック論争についての理解や興味に役立てば幸いです!

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