歌舞伎に女性が出演できない理由とは?女の子は何歳まで出られるの?
歌舞伎は日本の伝統芸能のひとつで、華やかな衣裳や化粧、独特の演技や音楽などで人気を集めています。
しかし、歌舞伎には女性の役者がほとんどいません。女性の役も男性が演じるのです。なぜ歌舞伎に女性が出演できないのでしょうか?また、女の子は何歳まで歌舞伎の舞台に立てるのでしょうか?
この記事では、歌舞伎に女性が出演できない理由や歴史、女性が関われる仕事やマナーなどについて紹介します。
この記事の内容は以下の通りです。
- 歌舞伎に女性が出演できない理由は?
- 歌舞伎に女性が出られるのは何歳まで?
- 歌舞伎は女性が歴史の起源?
- 歌舞伎初の女性役者?市川ぼたんとは
- 女形の歌舞伎俳優ってどんな役?
- 歌舞伎に関われる女性の仕事とは
- 歌舞伎女子の観劇マナーとは?
- まとめ
歌舞伎に女性が出演できない理由は?
歌舞伎に女性が出演できない理由は、江戸時代に風紀を乱すとして禁止されたからです。
もともと歌舞伎の創始者は阿国という女性で、阿国が始めた踊りが歌舞伎の起源と言われています。
阿国の踊りは異性装を特徴とし、男装をした阿国と女装をした阿国の夫が濃密に戯れるというものでした。特異な快楽に観客は高揚し、踊りの最後には演者と観客が入り乱れるなど色事の強いものでした。
阿国の歌舞伎踊りは京都で瞬く間に人気となり、若い遊女や女性芸人の間で大流行し、各地に女歌舞伎や遊女歌舞伎が氾濫しました。
しかし、寛永6年(1629年)に江戸幕府は風俗上の問題から、二度と女性に歌舞伎踊りをさせないという禁令を下しました。この禁令が今日でも残り、現代でも歌舞伎に女性がいない理由となっています。
歌舞伎に女性が出られるのは何歳まで?
明確な年齢制限はありませんが、慣習では女の子が初潮を迎えるまでとされています。
子供役では男の子でも女の子でも演じられます。子供役は抑揚のない一本調子でセリフを言います。この独特の言い方であれば、男の子でも女の子でも聞いていて違和感がありません。
また、子供はまだ顔の目鼻立ちが曖昧で体格差もなく、子役であれば性別なく演じることができます。
子役はいつから舞台に立てるかについては、こちらも明確な決まりはありません。
「初お目見え」という初めてお客さんに顔を見せる、セリフなどのない役であれば2歳から、「初舞台」という、セリフもある一人前の子役として舞台に立つ場合は、4歳くらいからが多いです。
歌舞伎は女性が歴史の起源?
歌舞伎の始まりは、400年以上前の阿国という女性の踊りが起源と言われています。
阿国は独特のスタイルを持ち、女性なのに男装をしたりと、奇抜なファッションで踊っていました。
奇抜な身なりや言動を当時は「傾く」と表現し、阿国はまさに傾く者でした。阿国の踊りは、傾く者の踊り「かぶき」と言われるようになりました。
阿国歌舞伎は、人気も高く特に遊女や女性芸人など歌舞伎女性の間で大流行しました。しかし、享楽的な舞が風俗上問題があると江戸幕府に禁止されてしまいました。
女歌舞伎や遊女歌舞伎が禁止となり次に勢力を得たのが、「若衆歌舞伎」でした。若衆はジャニーズ事務所のような、美少年を中心とした集団でした。
若衆歌舞伎も、現代でいうBL的な要素が強かったため禁止となり、その後は売色要素をなくした成人男性で構成される「野郎歌舞伎」となりました。
歌舞伎初の女性役者?市川ぼたんとは
市川ぼたんとは、七代目市川團十郎の舞踊を、九代目市川團十郎が磨き上げて創り上げた日本舞踊「市川流」という流派の継承者の名前です。日本舞踊ならびに歌舞伎の名跡の一つです。
2019年に十一代目市川海老蔵の娘、堀越麗禾(れいか)が四代目市川ぼたんを襲名しました。
二代目市川紅梅が初代市川壽紅(じゅこう)を、市川海老蔵の妹の三代目市川ぼたんは、四代目市川翠扇(すいせん)を襲名し話題となりました。
四代目市川ぼたんとして、「市川會三代襲名披露」での演目「羽根の禿(はねのかむろ)」では、三味線の音に合わせてかわいらしい舞を披露しました。
女形の歌舞伎俳優ってどんな役?
女性役を演じる歌舞伎俳優を女形(おんながた、おやま)と呼びます。メイクや髪型など外面的な技術で女性らしさを演出しているのはもちろん、仕草や言葉遣いなど役者の修練によって、本物の女性以上に女性らしい女形です。
登場するだけで、歌舞伎の舞台をより華やかにする存在です。
女形に対して、男性役全般を立役(たちやく)といいます。
歌舞伎役者の女形と立役の区別は曖昧な点があり、真女形と呼ばれる坂東玉三郎や、中村芝雀を除いては、女形が立役を演じたり、立役が女形を演じる場合もあります。
また、青少年期は女形を演じていた役者が、役者の年齢的な成長にあわせて立役を多く演じるケースもあります。
歌舞伎にはさまざまな女性の役柄が登場しますが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。
- 娘役(むすめやく):若く美しい娘の役で、恋愛や悲劇の主人公として活躍します。例えば「助六」のお初や「心中天網島」のお初など。
- 女房役(にょうぼうやく):既婚の女性や中年以上の女性の役で、夫や家族に対する愛情や悲しみを表現します。例えば「仮名手本忠臣蔵」のおりきや「曽根崎心中」のお岩など。
- 傾城(けいせい):遊女や芸者など売春を生業とする女性の役で、色気や気品を兼ね備えた美人です。例えば「吉田屋」のお菊や「鳴神」の弁天小僧など。
- 悪婆(あくば):老婆や魔女など邪悪な女性の役で、怖さや気味悪さを表現します。例えば「義経千本桜」の巴御前や「鏡山旧錦絵」のお袖など。
- 老女方(ろうおんながた):老年期に入った女形俳優が演じる老婆の役で、母親や祖母として家族に対する情愛や慈悲を表現します。例えば「菅原伝授手習鑑」の菅原道真母や「東海道四谷怪談」のお岩母など。
歌舞伎に関われる女性の仕事とは
歌舞伎には舞台上だけでなく、舞台裏でもさまざまな仕事があります。その中には女性でもできる仕事もあります。代表的なものとしては以下のようなものがあります。
- 付き人(つきびと):歌舞伎俳優に仕える助手で、衣裳やかつら、化粧道具などを用意したり、稽古場や楽屋への移動を手伝ったりします。女性の付き人は女形俳優につくことが多く、女形の化粧や着付けなどにも携わります。
- 舞台美術(ぶたいびじゅつ):舞台の背景や小道具などをデザインしたり、制作したり、設置したりします。舞台美術には大道具(おおどうぐ)、小道具(こどうぐ)、衣裳(いしょう)、かつら(かつら)などの分野があります。女性は特に衣裳やかつらの制作や管理に携わることが多いです。
- 舞台音響(ぶたいおんきょう):舞台の音楽や効果音などを担当します。舞台音響には三味線(しゃみせん)、太鼓(たいこ)、笛(ふえ)、鳴物(なりもの)などの生楽器や、録音された音源を操作する音響技師などがあります。女性は特に三味線や笛などの楽器奏者として活躍することが多いです。
- 舞台照明(ぶたいしょうめい):舞台の明暗や色彩などを担当します。舞台照明には照明機器を操作する照明技師や、照明のデザインをする照明デザイナーなどがあります。女性は特に照明デザイナーとして活躍することが多いです。
歌舞伎女子の観劇マナーとは?
歌舞伎は伝統芸能であると同時に、現代のエンターテイメントでもあります。歌舞伎を楽しむためには、観劇マナーを守ることが大切です。歌舞伎女子として、以下の点に注意しましょう。
- 服装:歌舞伎座では特に決まった服装はありませんが、清潔感のある服装で行きましょう。カジュアルすぎる服装や露出の多い服装は避けましょう。また、帽子やマフラーなど視界を遮るものは外しましょう。
- 持ち物:歌舞伎座では大きな荷物は預かってもらえません。必要最低限のものだけ持って行きましょう。また、飲食物や飲料水は持ち込み禁止です。歌舞伎座内で購入したものだけ飲食できます。
- 携帯電話:歌舞伎座では携帯電話の電源を切るか、マナーモードにしてください。着信音やバイブレーション、画面の光などが他の観客や役者に迷惑になります。また、写真や動画の撮影も禁止です。
- 掛け声:歌舞伎では役者に対して掛け声をかけることができます。掛け声は役者の名前や役名、演目名などを叫ぶもので、役者を励ましたり感心したりする表現です。
掛け声は場面やタイミングによって異なりますが、基本的には、役者が舞台に登場したときや、見得を切ったとき、舞台から退場するときなどにかけます。
掛け声は自分の好きな役者に対してかけるものですが、他の観客や役者に迷惑にならないようにしましょう。掛け声の仕方やタイミングがわからない場合は、周りの観客の様子を見てみましょう。
- 拍手:歌舞伎では拍手もできます。拍手は役者の演技に感動したり感謝したりする表現です。拍手は場面やタイミングによって異なりますが、基本的には、演目の終わりや幕間、カーテンコールなどにします。
拍手は自分の感想を表すものですが、他の観客や役者に迷惑にならないようにしましょう。拍手の仕方やタイミングがわからない場合は、周りの観客の様子を見てみましょう。
まとめ
歌舞伎は女性が始めた芸能ですが、江戸時代に禁止されてからは男性だけの芸能となりました。しかし、歌舞伎には女性が関われる仕事や役柄もあります。また、歌舞伎を観る女性も増えています。歌舞伎を楽しむためには、観劇マナーを守ることが大切です。歌舞伎女子として、歌舞伎の魅力を存分に味わいましょう。
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